ファクタリング会社が絶対に提携したがらない「ヤバい」業種とは?

「ファクタリングなら、どんな業種でも資金調達できる」「赤字でも税金滞納でも大丈夫」…ネットに溢れるそんな甘い言葉を、まさか鵜呑みにしてはいませんよね?

初めまして。元ファクタリング会社で営業部長をしていた、黒木 仁と申します。10年間、この業界の最前線で数千社の資金繰りを見てきましたが、はっきり言って、綺麗事だけでは会社は守れません。

ファクタリング会社は慈善事業家ではありません。彼らはあなたの会社の将来性ではなく、あなたの持つ「売掛債権」が、いかに安全に回収できるかしか見ていない。その冷徹な審査の裏側では、特定の業種が「ヤバい案件」として、問答無用で弾かれている現実があります。

この記事では、私が業界で見てきた「不都合な真実」を、一切の忖度なくお話しします。これは単なる情報ではありません。甘いセールストークに騙され、高い手数料を搾り取られたり、最悪の場合、契約すらできずに時間を無駄にしたりしないための「武器」です。

あなた自身の会社を守る覚悟があるなら、このまま読み進めてください。

なぜファクタリング会社は「業種」でふるいにかけるのか?

まず大前提として理解していただきたい。ファクタリング会社があなたの会社を審査するとき、彼らの頭の中はたった一つの懸念で支配されています。それは、「この売掛債権は、本当に満額回収できるのか?」という一点に尽きます。

表向きの理由と、隠された本音

彼らは口当たりの良い言葉を使います。「事業の安定性」「社会貢献度」などともっともらしいことを言うでしょう。しかし、そんなものは建前に過ぎません。

彼らの本音は、すべてが「債権の回収リスク」です。あなたの事業がどれだけ社会の役に立とうが、将来性があろうが、回収リスクが高いと判断されれば、彼らは1円も出しません。秒速で審査落ちの連絡が来るだけです。それがビジネスというものです。

審査担当はここを見ている!売掛先の信用力だけではない「業種リスク」

「うちは売掛先があの大手企業だから大丈夫」そう考えるのは早計です。もちろん、売掛先の信用力は最重要項目の一つ。ですが、それと同じくらい、我々が見ていたのは「業種そのものが持つリスク」です。

具体的には、以下のような点を冷徹に分析しています。

  • 業界全体のキャッシュフローの特性: そもそも入金サイクルが異常に長い、突発的な支払いが多いなど、業界全体が不安定ではないか。
  • 過去のトラブル事例や貸し倒れ率: その業種で過去にどれだけ貸し倒れや支払い遅延が発生しているか。データは嘘をつきません。
  • 法規制や社会情勢の変化による影響: 法改正や世論の逆風で、一気に事業が傾く可能性はないか。

これらを総合的に判断し、「リスクが高い」と判断された業種は、最初から門前払いされることになるのです。

【元部長が暴露】ファクタリング会社が本音で嫌がる「ヤバい」業種ワースト5

さて、ここからが本題です。私が営業部長だった頃、審査部から「この業種からの申し込みは特に注意しろ」と耳にタコができるほど言われた、要注意業種をランキング形式で暴露しましょう。

第5位:個人事業主・フリーランス(特にWebライター、デザイナーなど)

まず、法人格でないというだけで、審査のハードルは一気に跳ね上がります。 特に、オフィスもなく、実態が見えにくいWeb系のフリーランスは敬遠されがちです。

  • なぜ嫌がられるのか?: 事業の実態が掴みにくく、売掛債権そのものが本当に存在するのか、という信憑性を疑われます。また、社会的信用が法人に比べて低いと見なされ、万が一のトラブル時に回収が困難になると判断されるのです。
  • 中の人の本音: 「自宅兼事務所で、昨日今日始めたような相手に、誰が金を貸したいと思うんだ?請求書一本偽造されたら終わりだぞ」というのが、審査担当者の偽らざる本音です。

第4位:飲食・小売業(特に現金商売がメインの店舗)

意外に思われるかもしれませんが、日銭を稼ぐスタイルの飲食・小売業も、ファクタリングとは絶望的に相性が悪い。

  • なぜ嫌がられるのか?: 理由は単純明快。そもそも「売掛債権」が発生しにくいビジネスモデルだからです。ファクタリングは売掛債権を買い取るサービス。その対象物がなければ話になりません。法人向けのケータリングや卸売でもない限り、門前払いです。
  • 中の人の本音: 「クレジットカードの売上債権なら買い取れなくもないが、一件一件が少額すぎて手間ばかりかかる。正直、利益に見合わないんだ」

第3位:IT・Web制作・コンサルティング業

一見、現代的で儲かっていそうに見えるこの業界も、ファクタリング会社からすれば非常に厄介な相手です。

  • なぜ嫌がられるのか?: 成果物が「無形」であるためです。 システムやデザイン、コンサルティングレポートは、物理的な商品と違い「納品した・していない」「完成の定義」が曖昧になりがち。クライアントから「仕様と違う」とクレームがつけば、支払いが簡単にストップしてしまう。債権そのものが消滅するリスクを常に孕んでいます。
  • 中の人の本音: 「『バグがあったから検収印は押せない』の一言で、何百万の債権が紙くずになる。こんなに怖い債権は他にない。絶対に深入りするな、と新人に教えていたくらいだ」

第2位:風俗・水商売・ギャンブル関連

これは言うまでもないかもしれません。まともなファクタリング会社であれば、絶対に手を出しません。

  • なぜ嫌がられるのか?: 公序良俗に反する事業であり、コンプライアンス上の問題が大きすぎます。 特に銀行系のファクタリング会社は、こうした業種と取引したことが知られただけで、親会社から厳しく叱責されます。また、反社会的勢力との繋がりを常に疑われるため、リスクしかありません。
  • 中の人の本音: 「この手の業種に手を出すのは、高利で貸し付けるヤミ金まがいの業者だけだ。我々のような真っ当な会社は、関わった時点で社会的に終わり。会社の看板を汚すわけにはいかない」

第1位:建設・土木業(特に三次請け以降の孫請け業者)

そして、最もファクタリング会社が警戒し、提携を嫌がる業種。それは、建設・土木業です。

  • なぜ嫌がられるのか?: この業界の根深い問題である「多重下請け構造」と「異常に長い支払いサイト」がすべての元凶です。 元請け、一次、二次、三次…とピラミッドが連なる中で、末端の業者ほど立場が弱く、入金は数ヶ月先になるのが当たり前。その間に上位の会社が一つでも倒産すれば、連鎖的に焦げ付きが発生します。工事の遅延や天候不順で、支払い条件が簡単に変更されるリスクも日常茶飯事です。
  • 中の人の本音: 「元請けがコケたら、その下の業者は全滅。そんな危険なババ抜きゲームのカードを、誰が好き好んで引くと思うんだ?建設業の案件は、宝くじを当てるより難しいぞ」

危険信号!業種以外にもある「一発アウト」の共通点

特定の業種でなくとも、審査担当者が「これは危ない」と瞬時に判断する危険な兆候があります。以下のチェックリストに一つでも当てはまるなら、あなたの申し込みはゴミ箱行きになる可能性が高いでしょう。

チェック項目危険度審査担当の本音
売掛先との取引実績が浅い・新規取引★★★「昨日今日できた関係なんて信用できるか。共謀して架空債権を作っている可能性も疑う」
提出書類に不備・矛盾がある★★★「数字が合わない、印鑑が不鮮明…どんな理由であれ、嘘をつく人間が一番信用できない」
債権に譲渡禁止特約が付いている★★☆「法的には有効でも、売掛先と揉めるのは目に見えている。面倒な案件は避けたい」
支払いサイトが異常に長い(90日超)★★☆「3ヶ月も先のことなんて誰にも分からない。その間に売掛先が倒産するリスクが高すぎる」
売掛先が個人事業主★★☆「法人口座への振り込みじゃない時点で警戒レベルが上がる。本当に事業の支払いなのか?」

「相見積もり」と「多重申し込み」の決定的な違い

賢い経営者は、手数料や条件を比較するために2〜3社から「相見積もり」を取ります。これは正当な行為であり、我々も理解しています。

しかし、本当に資金繰りに窮した人は、見境なく5社、10社と手当たり次第に「多重申し込み」をします。この行動は、ファクタリング会社間の情報網ですぐにバレます。「よほど切羽詰まっているな」「どこからも断られている危険な案件だ」と判断され、かえって自分の首を絞めることになるのです。

自分の業種がリストにあったら、もう終わりなのか?

ここまで読んで、自社が該当してしまい、絶望的な気分になっているかもしれません。ですが、諦めるのはまだ早い。どんなに不利な状況でも、やり方次第で審査のテーブルに乗せることは可能です。元部長として、いくつか「逆転の一手」を授けましょう。

絶望するのはまだ早い。元部長が教える「逆転の一手」

  • 売掛先の質で勝負する
    あなたの会社の業種がどうであれ、売掛先が国や地方公共団体、あるいは誰でも知っている上場企業であれば話は別です。 債権の回収確実性が極めて高いと判断され、審査の土俵に上がれる可能性が格段に上がります。
  • 3社間ファクタリングを検討する
    手数料が安く、審査に通りやすいのが3社間ファクタリングです。 売掛先に債権譲渡の承諾を得る必要があるため、資金繰りの状況を知られてしまうデメリットはありますが、ファクタリング会社からすれば「売掛先公認」のお墨付き。回収リスクが劇的に下がるため、通常なら断られるような業種でも検討の余地が出てきます。
  • 専門特化型のファクタリング会社を探す
    最近では、特定の業種に特化したファクタリング会社も増えています。 例えば「建設業専門」「医療・介護専門」などです。彼らは業界特有のリスクや商習慣を熟知しているため、一般的なファクタリング会社が嫌がるような案件でも、独自の基準で審査してくれます。

まとめ

いかがでしたか。

「どんな業種でもOK」というセールストークが、いかに無責任な嘘であるか、ご理解いただけたでしょうか。ファクタリング会社は、あなたの会社の業種を、好むと好まざるとに関わらず冷徹に評価しています。

彼らが何よりも恐れるのは「債権が回収できないリスク」。そのリスクが高いと判断される業種は、残念ながら最初から相手にすらされないのが現実です。

しかし、最も重要なのは、自社の業種が持つリスクを経営者であるあなた自身が正しく理解し、先手を打って対策を講じることです。今回お話しした知識こそが、あなたとあなたの会社を悪質な業者や無駄な時間から守る、唯一の武器となります。

安易な広告に飛びつく前に、まずはこの記事で挙げたチェックリストをもう一度見直し、自社の状況を客観的に分析することから始めてください。それが、賢明な資金調達への第一歩となるはずです。